地震予測観測網(JYAN研究会)

地震の電磁前兆を観測し、直近で予測(いつ・どこで・どれくらいの)を配信します。

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地震予知

10月25日~鹿児島での日本地震学会は

  •  10月25日から27日まで鹿児島市県民交流センターで日本地震学会が行われました。私も27日に地震予知セクションで講演発表を行いました。その講演の内容は、昨年4月に発生した熊本地震での電磁観測状況とそのデータ解析の結果を発表したものです。特に力を入れたのは、4月6日と9日の段階で、竹田から熊本間で震度7級の地震が起きることが予測できていた事と実際に予知通りの地震が起きたことです。予知できた観測は、常時観測している電波の内、熊本からのFM電波が竹田受信局で、受信した信号強度が特別な異常上昇を(日頃は11dB程度ですが、このときは26dB迄上がり、+15dBと言う初めての高さだった。)記録したからです。これまでの経験則(数百ある)では、約1週間後に異常レベルに応じた(この時は震度7クラスを予想)地震が起きているのです。
  •  それで、私は、予測日(14日)に、観測装置を持って竹田に泊まっていました。案の定、夜半に大きな地震が起こりました。テレビで地震情報を見ると、熊本県益城町(熊本-竹田ライン上)で震度7の地震が起きたとの事でした。ところが、テレビで「今後一週間は余震に注意して下さい」とK庁の課長が繰り返して言うのです。私は、2回目の大きい地震が来る事を予測していましたので、災害応援と2度目の周知広報を兼ねて、翌、早朝に熊本へ向け出発しました。
  •  ところが、益城町では、家屋の倒壊や怪我人等、思ったよりひどい状況では無く、消防や警察も割と落ち着いていました。そこで、出会った方には「もう一度大きな地震が来ますよ」と伝えましたが、地震が今現在、続いている中、もう一度大きい地震が来ますよ。と言う言葉は、不安を煽るようで、なかなか言いにくいため、観測の方に切り替えました。
  •  そして、16日の地震(本震)が発生してから、周知広報の手段や伝達力の無さにがっくりし、自分たちが如何に無力に等しいかと残念に思いました。大方、余震が落ち着いた頃、地震記録と観測データを解析していたら、とんでもないことに気が付きました。それは、2回の大きな異常から2回の大きい地震に気付いたように、前震と本震データを詳細に調べるうち、それぞれ4回程の異常ピークと呼応したように4回の地震が発生している事が読み取れたのです。まさか、詳細データのピークまで地震が対応している等は考えていませんでした。こんな観測は初めてですし、こんな予測例は聞いたことがありません。それで、時系列で前兆異常と、実際に起きた地震のデータを比較照合してみると、前兆と、実際の地震は、異常ピークの「発生時間と異常レベル(大きさ)」に殆ど同期しており、違っていても予定時間より30分程度の違いしか無い事が判りました。初震から3時間以内の連続であれば、20~30分の予測違いは問題になりません。
  •  学会では、地震予測として、前兆異常に呼応して次々と地震が起きる事、そして、今までに無い観測と予測データを発表したのですが、講演を聞かれた方は、半信半疑だったのでは無いかと思います。1週間前に、大きな地震が2回来る事が判っただけでも凄いのに、前本震それぞれが、前兆異常(予測時間)の通りに続いて地震が起きるなんて、余りに正確すぎて理解できないのでは無いかと思います。しかし、これは、本当の事なのです。従って、この観測方式を地震予知に役立てたいと思いました。この観測網があれば、熊本地震では、殆どの方が家に帰らず、本震による倒壊で命を無くす事は無かったと思うのです。
  •  しかし、私が、発表した内容は、学会は元より新聞やテレビに取り上げられることはありませんでした。従って、皆さんのお役に立つこともありません。また、この観測方式には大きな欠点があります。それは、観測網の敷設が必要なのです。現在は、実験的な観測網(観測点が40ヶ所)ありますが、プロ仕様にして、各市町村に2ヶ所くらい置けば全国に600ヶ所程度が必要です。また、観測点は多いに超したことはありませんが、情報処理まで含めると数億から数十億円は掛かりそうです。国の予算は、そんな簡単に頂けるものではありませんから、私達の研究は、宝の持ち腐れになってしまうかも知れません。
  •  実は、今回の地震学会で、私達の発見が、新鮮な話題となる事を期待していたのですが、進展はありませんでした。あまりに正確すぎて、そんな観測ができる訳が無いと、思われたのかも知れません。先日、予知学会のN教授とH教授にこのPPTを見て頂きました。ところが、N教授からは、素晴らしい観測とデータではあるが、この内容では地震学者は見向きもしないだろうと言うのです。私は、研究発表者がプロの教授で無くても、これだけ正確に、確実なデータ(予稿集にも掲載済み)を揃えて発表すれば、誰か1人ぐらいは目に止め、学会全体としても注目してくれるだろうと思っていましたが、国や地震専門部会で、地震予知はでき無いと結論付けた「大風が吹いている」以上、この情報は取り上げる訳にはいかないとして、「無視」されたのかも知れません。こんなことで学会が変な動きをするようでは、日本の研究や新しい発見が出にくいだろうなと思います。
  •  私は、何とかして、全国に観測網を作りたいのですが、糸口が掴めないのが残念でなりません。どなたか、良き手法や知恵がありましたら授けて下さるようお願い致します。
  •  講演データの一部をPDF(7Mb)で公開します。ご覧下さい。(印刷や編集は遠慮願います)